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CATのアメリカ東海岸留学

CATのアメリカ東海岸留学

留学生と傭兵の共通点?

以前ちょっと一部留学系のブログなどで話題になっていた「ハーバード大学に
合格したウェイトレス(リンク切れ)」というウェブ記事から話ははじまる。

☆以下、本文より引用☆

パロアルト市はスタンフォード大学がある町として知られる。(中略)そこでウェイトレスを
しているA子さんは日本で地方の高校を卒業して、米国のコミュニティーカレッジ(公立の短大)
に数年通っている
20代後半の女性である。米国のコミュニティーカレッジには入学試験はない。
応募すれば誰でも入れる。生活費を稼ぐために昼間は店員をやり夜間にはウェイトレスをやって
いる
。授業の合間を縫ってアルバイトに忙しい毎日である。

その彼女が4年制の大学の3年に編入する試験を受けた。コミュニティーカレッジの先生のアド
バイスに従って一流大学ばかりに願書を出した。最初に合格通知がきたのは名門大学として有名
なハーバード大学からであった。その後ほかの一流大学からも続々と合格通知がきた。(後略)

(*)下線は(本人が永住権をとっていないとすれば)違法行為と思われる点や、留学の実状や
   アメリカの大学の入学/転校システムからすると「?」な部分です。


ちまたでの議論は「そもそも違法就労をしながら居座っていたA子さんの人格が
疑われる」とか「人はコミカレ留学を見下すけど、こうして成功している人も
いる」といったような既に語りつくされていて、水掛け論にしかならないような
ものばかりなんだけど、自分は記事を読んだ瞬間にすぐに「それ以前」の問題に
気が付いた。

アメリカの大学間のトランスファー(転校)を経験した人(特に上位校への
トランスファーを考えた人)ならもしかして同じことを思ったかもしれない。

「この話、本当?」

もちろんこの記事を書いた方が作り話をしているという意味ではなく、A子さんが
周りにした話がどこまで正確なのか、という意味だ。

まず言えるのが、駐在員など現地に「留学以外の理由で」いる人や、派遣留学で
アメリカに来た方は(この記事を書かれた方は留学経験があるようだけど、恐らく
企業派遣)それほど自費留学事情、リアルな留学情報は知らないということ。

ジャパニーズレストランなどで自費留学組と接点をもつことはあっても、特に
留学事情/情報に興味があるわけでもなく、お互いの会話も表面的、社交辞令的な
ものに終始するケースが多く、結果、例えばこの記事内のようにアメリカの大学の
入学/転校システムについてちょっとズレた理解をしていることがある。

実際、海外長期駐在員などが、自分の子供のアメリカでの大学進学などの際に、
システムがよくわからないがために、適切なアドバイスができないという話はよく
聞く。逆に子供のほうからは「そんなわけで自分で全部やらなきゃならなかった
から、苦労したよ・・・ハハハ」という話もよく聞かされた。

だから留学しようとした時に例えば「海外に駐在している親戚」に事情を聞いても、
思ったより正確な情報は手に入らない
と思っておいたほうがいい。

話が脇道に逸れてしまった。

というわけで、そもそも記事を書かれた方がどこまでA子さんの話の真偽を見抜く
しっかりとした知識があったかは疑問だ。

留学経験者として特にピンときたキーワードは「米国のコミュニティーカレッジに
数年通っている」というくだりだ。

ここから「合法滞在のための最低履修単位数」「ハーバードの転入出願条件」と
いったあたりを突き合わせてみれば、おのずと答えは見えてくるような気がする。

ちなみに「合法滞在のための最低履修単位数」は自分の頃と違って、政府機関への
履修歴の提出が義務づけられたから、むしろ厳しくなっていると思う。もちろん
アメリカは例外アリアリの国だから、彼女のケースは「例外中の例外」なのかも
しれないけど。

                 *

それよりもこの話で思い出されたのは、留学初期の経験だ。

留学初期にまわりの日本人留学生を見ていて気付いたのは「日本で何らかの理由で
つまづいて」留学してきた人が多いということ。受験に失敗、就職に失敗、会社
での人間関係がうまくいかなかった、などなど。女性の場合、独身のまま歳を
重ねてしまって、まわりの目が辛くなったという理由もあったような気がする。

つまり日本にいれば、周りから有言無言のプレッシャーを受けそうな自分の経歴に
「リセットボタン」を押しにアメリカまで来たというわけだ。

お互いのそんな立場を知ってか知らずか、会話の際に「お互いの痛い過去」にふれ
ないよう、つまり「過去の経歴は不問」的な会話に終始することもしばしば。

当時、まるで傭兵のようだな、と思った記憶がある。

どちらかというと後ろ向きな理由で日本を出てきたとはいえ「実は自分はすごい
んだ」と語る者
は多かった。

そして、お互いリセットボタンを押してきた身だということを察して不干渉に徹し
(アメリカなんだから「個人主義」だよねっ)表向きは「そうなんですか~」
「すごいですね~」「がんばってくださいね~」というポジティブな会話のみが
交わされていたような気がする。

ところが勢い日本を飛び出して来たものの、アメリカは日本以上の競争社会。
椅子の少ない椅子とりゲームであることも確かなわけで、なのに語学学校で、
その後大学入学に失敗したという話をあまり聞かなかったのはなぜだろう。

話を全て鵜呑みにすれば、みんなけっこうな大学へ転出して行ったわけだが・・・。

付け加えれば、留学系のブログや掲示板で「留学に失敗しました」という内容の
ものが少ないという現象もある。残念ながら、途中でドロップアウトする人は
少なくないのに、だ。(以前、留学雑誌の編集者の方から成功体験のインタビュー
をとれる留学成功者を捜すのが大変
という話を聞いたこともある。)

キーワードは「人は武勇伝は語るが、失敗は語らない」

ところで人は完璧に虚勢を張り通すのはなかなか難しい。というわけで、ごく親しい
友達には「実は・・・」と、真実を語っていたりするわけで、例えば「○○大学から
合格通知をもらったから、秋セメから○○大学に行くの~」と言って語学学校の
みんなの前から消えた○○子ちゃんは、実は日本に帰った、などという話が後々
裏からひっそり回ってくる、なんてこともあった。

もしかしたら最終的にはウソだったということがクラスメートにばれるということに、
本人は気付いているのかもしれない。でも「日本に帰ってしまえば赤の他人。後腐れは
あまりなかったりするんだよね」というのはこれまた別の「プチ経歴詐称」をした後、
日本に帰っていった留学生の弁。

以上「ハーバード大学に合格したウェイトレス」というウェブ記事を読んだ時になん
だかどっかで聞いたことのある話だなぁ、と、なんとなく当時を思い出してしまった
というお話でした。

無論、真相は闇の中だけど。

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オリジナルエントリー
ハーバード大学に合格したウェイトレス(2005年8月21日)
傭兵と留学生の共通点(2005年8月22日)
だ~れが殺したクックロビン(爆)(2005年8月23日)


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